研究課題
金属結晶に電子線を照射すると、電子の弾き飛ばし効果によって、原子配列が乱れアモルファス構造が形成される場合がある。一方、我々は、原子配列が周期性を有さないアモルファスあるいは金属ガラスに電子線を照射すると、結晶化が起こることを見出した。本研究では、Zr系、Fe系等の各種金属ガラスに電子線照射を行い、照射誘起結晶化の有無、形成される結晶構造、相安定性、ナノ組織制御について調べた。また、電子線照射誘起アモルファス化・結晶化に関する実験結果の集約・データベース化を行い、電子線照射誘起相転移の特徴・支配因子および制御パラメーターを明らかにすることを目的とし、下記の結果を得た。電子線照射誘起結晶化の発現については、(1)アモルファスの熱的安定性の増加に伴い結晶化に必要な臨界トータルドースは増加する、(2)金属-金属系合金の臨界トータルドースは、金属-半金属系合金のそれに比べて一般的に低くなる傾向が見られる、などが明らかとなった。また、電子線照射誘起結晶化の相選択については、(1)Fe系合金ではb.c.c.過飽和固溶体が、Zr基合金ではF.c.c.過飽和固溶体が析出する傾向がある、(2)相選択は照射温度に強く依存する、(3)熱誘起結晶化により準結晶を形成する合金系が特異な相選択を示す、などが明らかとなった。実験結果の集約・データベース化により得られた知見を用いて、Fe-Nd-B系金属ガラス合金に適切な電子線照射を行う事により、1マイクロメーターオーダーのナノコンポジット型磁石を、金属ガラスマトリックス中に作製する事に成功した。
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