研究課題/領域番号 |
18030004
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
白井 肇 埼玉大学, 大学院理工学研究科, 助教授 (30206271)
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研究分担者 |
山納 康 埼玉大学, 大学院理工学研究科, 助手 (30323380)
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キーワード | マイクロプラズマ / プラズマ-溶液界面反応 / 溶液物理化学 / プラズマ発光 / 電解質溶液 / 分光エリプソメトリー / 実時間その場計測 / 光学定数 |
研究概要 |
電解質溶液を対向電極とした大気圧プラズマ生成では、従来の固体電極では期待されない溶液酸化・還元反応、電気泳動、構成元素のプラズマ領域への輸送および液滴-溶液間プラズマ等ユニークな反応場の創生が期待される。本研究では、各種電解質溶液をカソードおよびアノード電極とした大気圧プラズマの生成を行い、発光分光法(OES)、溶液のpH(=-log[H^+])および分光エリプソメトリー(SE)による実時間その場診断を通してプラズマ生成機構と溶液物理化学との関連を考察した。特に各種電解質溶液を対向電極とした空気およびArプラズマ生成に対して溶液構成元素の発光強度、電子密度、自己バイアス:V_<self>および溶液のpH変化に着目した。 実験は、内径700μmΦの筒状タングステンおよび各種電解質溶液を電極とし、整合回路を通してRF(13.56MHz)高周波電力を印加し、空気または電極中心部からArを供給することで電極先端にプラズマ生成を行った。プラズマ診断は、NaOHおよび塩酸溶液濃度(40ml一定)、RF電力、電極間距離、溶液印加直流バイアスを変数として、溶液のpH(=-log[H^+])、OES発光強度(Na、OH、ArI、H_α)、自己バイアス:V_<self>の関連を評価した。 電解質溶液を対向電極とした大気圧プラズマ生成では、従来の溶液スパッタリング、蒸発に加えて、溶液のプロトン濃度に依存した2次電子放出過程がプラズマ生成に関与していることが分かった。またプラズマ照射により正イオンの照射により表面近傍にカソード電極層が形成されることで電気2重層が形成され、バルク溶液中の負イオンが電気泳動によりカソード表面に輸送され、放出される可能性を示した。実時間紫外・可視分光エリプソメトリー計測から大気圧プラズマ-溶液界面に電気泳動による吸収層の存在を明らかにした。これらの要因には、プラズマ-溶液界面における電気2重層の形成、電気泳動等の効果が揚げられる。
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