研究課題/領域番号 |
18030006
|
研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
永津 雅章 静岡大学, 創造科学技術大学院, 教授 (20155948)
|
研究分担者 |
荻野 明久 静岡大学, 創造科学技術大学院, 助手 (90377721)
|
キーワード | マイクロプラズマ / マイクロホローカソード / プラズマ滅菌 / 大気圧プラズマ / 誘電体バリア放電 / 電磁界解析 / オゾン / 紫外線 |
研究概要 |
本年度では、マイクロホローカソードアレイを用いた大気圧平板状プラズマの生成を実証し、それを用いたプラズマ滅菌特性を調べることを目的として、以下の実施項目を実施した。 (1)マイクロホローカソードアレイの製作:ハニカム状に細孔を開けたマイカ薄板を用い、両面を金属薄板の電極としたマイクロホローカソード電極を製作した。 (2)実験装置の整備およびプラズマ放電実験:マイクロホローカソード放電を低駆動電圧で行うため、誘電体バリア放電を予備電離とした電極構造を提案し、放電特性における予備電離の効果を調べた。実験の結果、マイクロホローカソード放電の開始電圧を3kVから約500V程度低減できることを明らかにした。 (3)大気圧放電プラズマの診断:マイクロホローカソード放電および誘電体バリア放電などの大気圧放電プラズマ放電時の電流-電圧特性の測定を実施し、紫外・可視分光器を用いたプラズマ発光スペクトル測定およびオゾン濃度測定を行った。大気中での誘電体バリア放電のスペクトル測定より窒素分子の紫外域発光を確認し、さらに数100ppmにおよぶ高濃度のオゾンの生成を確認した。 (4)マイクロホローカソードアレイにおける電磁界解析:誘電体バリア放電を予備電離として用いたマイクロホローカソードアレイにおける電磁界強度分布の解析を有限要素法を用いて行った。誘電体バリア放電によって生成される電子がマイクロホローカソード電極中に加速され、放電がその瞬間に起きうることが解析から示され、実験で観測された断続的放電の現象を説明できることを示した。 (5)大気圧放電プラズマを用いた滅菌実験:医療チューブ内部滅菌用に細線状の誘電体バリア放電を提案し滅菌特性の評価を行った。滅菌実験の結果、10分間以上の照射で10^6個の芽胞菌の死滅を確認した。また、シート状誘電体バリア放電による包装容器内部の低温滅菌法を提案し、包装容器内部での対象物の低温滅菌処理の可能性を示した。 (6)研究成果の発表:上記研究で得られた成果は、学術論文に10件、国際会議に6件、国内学会において18件発表を行った。また、誘電体バリア放電を用いた滅菌法に関する特許出願を2件行った。
|