研究概要 |
本研究では,ArFエキシマレーザーより先のリソグラフィー光源として期待されている極端紫外光(EUV)の最適な発生のために,それを生成するピンチ放電プラズマのパラメータをレーザートムソン散乱により把握するための研究を行っている。実験は,熊本大学秋山研究室との共同研究の一環として行った。平成17年度までに熊大のピンチ放電プラズマにおいて,アルゴンを動作ガスとした場合に,協同的散乱領域にあるトムソン散乱のイオン項について最初の信号を検出することに成功した。平成18年度は,まず測定の精度を高めることにより,このアルゴンでのピンチ直後のプラズマのパラメータが,電子密度n_e=1.5×10^<24>m^<-3>,電子温度T_e=15eV,実効的イオンの荷電数Z=7であり,これらが±10%精度で決定可能であることを示した。次に,ピンチ後のプラズマの時間的空間的変化の測定を行った。その結果,ヒ.ンチ直後は1mm程度の範囲で高密度高温のプラズマが形成されているのが,軸方向に押し出されるように中心から両側に密度の高い領域が移動し,僅か40ns後にはそれらの点は中心より±3mmの位置にまで達することが観測された。放電生成部は直径5mmの管状で,その一端からガスが流され,他端は大きな容器に接続されている。ガス上流側に向かっては,このピンチ後のプラズマの移動において,電子密度は高くなり電子温度は低くなる傾向を示した。これはガス導入の上流側では中性ガス密度が高いことにより電離が進んだためであると考えられる。他方,大容器に噴出していく下流側では,電子密度は減少しつつ電子温度はやや下がりながらも高い状態を維持していく様子が観測された。EUV光測定の結果と本研究の結果を対比させると,下流側ヘプラズマが移動していく過程でEUV光が放射されていることが分かった。
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