研究概要 |
マイクロプラズマは、プラズマディスプレイパネル等の光源、医療生体分野への応用、マイクロマシンなどの微細加工技術など様々な分野への幅広い展開が期待されている。一方、そのプラズマ中では、プラズマ生成体積に比べて、損失壁面積の占める割合が、低圧力のプロセシングプラズマに比べて、非常に小さい・大気圧中で、プラズマ生成は非常に困難である。即ち、マイクロプラズマの高効率生成は課題となっている。本研究では、真空紫外光源、ディスプレイ、大気圧表面処理などに期待される高圧気体中マイクロプラズマ生成に着目し、その高効率生成に最適な酸化物を見出し、プラズマの高密度化を図ることを目的する。平成18年度では、高圧気体マイクロプラズマ装置の構築を行い、それを用いた放電特性(パッシェン曲線)の計測を行った。その際、電極材料や導入ガスの影響を系統的に検討した。以下のような結果が得られた。 (a)酸化物誘電体の影響:いずれの希ガスにおいても、放電開始電圧はMgO、TiO_2、SrTiO_3の順に低下することを見出した。このことより、例えば、TiO_2、SrTiO_3の電極材料をプラズマディスプレイに用いることで、MgOより低い放電開始を実現できる。 (b)希ガスの影響:いずれの電極材料においても、放電開始電圧は、Ar,He,Neの順に低下することを実験的に明らかにした。この原因は、希ガスイオンに対する電極材料からの2次電子放出係数の違いによるものであることがわかった。 本成果は従来に見出されていない重要な結果であり、誘電体バリア放電を用いたマイクロプラズマの高効率生成の観点から学術的にも興味深い成果である。 今後の課題として、電源周波数を高周波化させることで、高2次電子放出・強誘電体酸化物電極を用いたマイクロプラズマの高密度化が実現できているかどうかを実験的に検討する。
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