研究課題
リゾチーム・αラクトアルブミンのフォールディングに関する基礎データを活かし、水溶性タンパク質のフォールディング挙動と、その構造中間体が示す細胞膜結合機能との関連を分子レベルで解明することを目的としている。昨年度までに、新規複合体調製法の開発、酸処理法で得られた脂肪酸結合型αラクトアルブミンのアポトーシス誘導活性等に関する成果が得られ、今年度新たに以下の成果が得られた。(1)酸処理法と熱処理法で得られた脂肪酸結合型ウシαラクトアルブミンの生理的条件下での近紫外CDスペクトルは、オレイン酸濃度に依存して三次構造崩壊を示唆する楕円率低下が起こる。NMRでも脂肪酸結合型ウシαラクトアルブミンは非天然構造型スペクトルパターンを示した。脂肪酸結合型ウシαラクトアルブミンの1H NMRスペクトルおよび15N HSQCスペクトルでは、脂肪酸結合による化学シフト変化はαラクトアルブミンのαドメインで大きく、しかもβドメイン側に面するアミノ酸残基であることがわかった。(2)αβαの3つのドメインからなるヒトとウシ由来のαラクトアルブミン(HHHおよびBBB)のドメインを入れかえたキメラ体(HBB,BHB,BBH)との比較から、アポトーシス誘導に関与しているドメインについて考察した。熱処理法で得られたサンプルではMG状態での安定性とアポトーシス活性の強い相関があった。(3)αラクトアルブミンの天然構造の示す水溶性と基質選択性補因子機能は、Molten Globule様構造を酸性処理という簡便な方法で脂肪酸トラップすることができ、細胞死誘導活性という新規の生物機能に変換することができた。今後、αラクトアルブミンと脂肪酸による複合体のNMRキャラクタリゼーションをさらに詳細に検討することで、構造中間体のトラップとそのダイナミクス情報が得られると期待できる。
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