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2007 年度 実績報告書

原子分解能かつナノ秒時間分解能でのプリオン・フォールディング反応の観測

研究課題

研究課題/領域番号 18031015
研究機関岐阜大学

研究代表者

桑田 一夫  岐阜大学, 人獣感染防御研究センター, 教授 (00170142)

キーワードプリオン / フォールディング / 温度ジャンプ / ナノ秒分光 / 赤外吸収
研究概要

蛋白質構造形成の初期過程の観測において,これまで一般的に用いられて来た高速混合法の不感時間は100マイクロ秒からミリ秒のオーダーであり,蛋白質の構造形成過程を観測するには不十分な場合が多かった。マウスプリオンのフォールディング反応においては,ヘリックスB,Cの形成反応は約50μsの時定数であるが,ヘリックスAの形成反応はさらに速く,時定数を求める試みには成功していない。
我々は,本研究プロジェクトにおいて,蛋白質の速いフォールディング反応を追跡するため,ナノ秒分解能(不感時間:300ナノ秒)をもつレーザー温度ジャンプシステムを開発した。本システムでは,YAGレーザーにより発振された波長1064nmのパルスレーザー光が,水素ガスを封入されたラマンシフターを通り1907nmに変換される。このレーザー光はサンプル水溶液に吸収され,サンプルの温度を10ナノ秒で15~30℃上昇させる。本プロジェクトでは,蛍光,及び赤外吸収で観測するシステムを構築した。
赤外ランプから出た赤外光を,バンドパスフィルターで選択して(1600cm^<-1>,1664cm^<-1>)プローブ光とし,ナノ秒の時間分解が可能なMCT検出器で観測した。このシステムにより温度ジャンプに伴う蛋白質の二次構造応答をナノ秒時間分解でモニターすることが可能となった。
我々は,全長プリオンタンパク質(F175W)を作成し,それが低温で不安定化する現象を解析した。さらに,本システムを用い,この状態からの全長プリオンタンパク質(20μM)の温度ジャンプ・レスポンスを観測し,1600cm^<-1>において,約20μs程度の時定数をもつ新たな相を発見した。この相はいままで観測されたことのない特徴的な挙動を示しており,プリオンの立体構造形成に関する新たな知見である,と考えられる(論文作成中)。以上の研究によ,り,1分子ナノ秒時間分解フォトンカウンティング観測装置,及びNMRによる原子分解能温度ジャンプ観測装置の開発にも見通しが立った。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2007

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Species specific differences in the intermediate states of human and hamster prion protein detected by high pressure NMR spectroscopy.2007

    • 著者名/発表者名
      Werner Kremer, Norman Kachel, Kazuo Kuwata, Kazuyuki Akasaka, Hans Robert Kalbitzer
    • 雑誌名

      J.Biol.Chem. 282

      ページ: 22689-22698

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Hot spots in prion protein for pathogenic conversion2007

    • 著者名/発表者名
      Kazuo Kuwata, (以下13名)
    • 雑誌名

      Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A. 104

      ページ: 11921-11926

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Modeling of a propagation mechanism of infectious prion protein; a hexamer as the minimum infectious unit2007

    • 著者名/発表者名
      Nakamura HK, Takano M, Kuwata K
    • 雑誌名

      Biochem.Biophys.Res.Commun 361

      ページ: 789-793

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Strange kinetic phase in the extremely early folding folding process of β-lactoglobulin2007

    • 著者名/発表者名
      Yuji O.Kamatari, Hironori K.Nakamura, Kazuo Kuwata
    • 雑誌名

      FEBS Lett. 581

      ページ: 4463-4467

    • 査読あり
  • [学会発表] プリオンのダイナミクスに基づく抗プリオン薬のデザイン2007

    • 著者名/発表者名
      桑田一夫, 鎌足雄司, 松本友治, 中村寛則, 早野陽介
    • 学会等名
      The 45nd Annual Meeting of the Biophysical Society of Japan
    • 発表場所
      Pacifico Yokohama
    • 年月日
      20071220-23
  • [学会発表] A hot spot in prion protein for pathogenic conversion:Proteins:From Birth to Death2007

    • 著者名/発表者名
      Kazuo Kuwata
    • 学会等名
      21st Annual Symposium of The Protein Society
    • 発表場所
      Boston,Massachusetts,Boston Marriott Copley Place
    • 年月日
      20070621-25

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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