研究課題/領域番号 |
18031041
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研究機関 | 崇城大学 |
研究代表者 |
上岡 龍一 崇城大学, 生物生命学部, 教授 (70099076)
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研究分担者 |
松本 陽子 崇城大学, 生物生命学部, 教授 (00133562)
後藤 浩一 崇城大学, 生物生命学部, 助教授 (30279377)
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キーワード | 癌 / シグナル伝達 / 糖 / 脂質 / 生体分子 |
研究概要 |
1.頭部極性基が双性でアシル鎖長が異なるリン脂質(C12 DLPC、C14 DMPC、C16 DPPC)と界面活性剤C_<12>(EO)_<23>からなるハイブリッドリポソーム(HL)のヒト前骨髄性白血病細胞HL-60に対する増殖抑制効果と細胞死誘導の解析をin vitroで行った。リン脂質のアシル鎖長の違いによりがん細胞に対する細胞死誘導が異なり、DLPCはネクローシス(壊死)、DMPCはアポトーシス(プログラム死)を誘導し、一方、DPPCは細胞死を誘導しないことを明らかにした。 2.ポリオキシエチレンアルキルエーテルの疎水部が4〜25と異なるミセル界面活性剤およびリン脂質(DMPC)を構成成分とするHLのヒト大腸がんに対する増殖抑制効果をin vitroで検討したところ、次の注目すべき結果が得られた。(1)HLの膜流動性と増殖抑制効果に明らかな相関関係を見出した。(2)HLは大腸がん細胞のカスペースを活性化してアポトーシスを誘導することを明確にした。(3)HLは正常大腸細胞に対しては全く融合せず、大腸がん細胞のみに融合・蓄積することを全反射蛍光顕微鏡を用いて初めて明らかにした。 3.リン脂質(DMPC)と非イオン性ミセル界面活性剤(C_<12>(EO)n、n=4〜25)からなるHLの膜流動性と種々の固形がん細胞(脳、胃、大腸、肝臓、乳、肺、子宮)に対する制がん効果(IC_<50>)の関連性について検討したところ、両者に良好な相関性が認められ、ハイブリッドリポソームの膜流動性が高いほど、また、がん細胞の膜流動性が大きいほど、HLのがん増殖抑制効果が大きいことを明らかにした。HLを用いた種々のがん細胞でのIC_<50>と膜流動性との相関性を一般化し、HLのがん細胞膜をターゲットとする新しい制がんメカニズムの提唱を可能とした。
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