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2007 年度 実績報告書

神経変性疾患に見られるアミロイド繊維の構造伝播メカニズム

研究課題

研究課題/領域番号 18031044
研究機関独立行政法人理化学研究所

研究代表者

古川 良明  理化学研究所, 構造神経病理研究チーム, 基礎科学特別研究員 (40415287)

キーワード蛋白質凝集 / アミロイド / ポリグルタミン / ハンチントン病
研究概要

ハンチントン病(HD)はハンチンチン蛋白質(Htt)に存在するポリグルタミン鎖(polyQ)の異常伸長によって引き起こされ、神経細胞内での変異蛋白質の蓄積・凝集が主な病理学的所見である。本研究では、Htt凝集体に含まれる蛋白質の一つとしてTIA-1を同定し、TIA-1がHtt凝集体に取り込まれるメカニズムとして、polyQ線維によるTIA-1の線維化促進を提案している。TIA-1はRNA結合を行うN末端領域とstress granule形成にかかわるC末端領域(TIA-1^c)からなるが、培養細胞を用いた実験から、polyQ凝集体との共局在にはTIA-1^cが必須であることを明らかにした。線維の形成は「核形成」と「伸長」の二段階からなるが、ある蛋白質の線維が別の蛋白質の線維化の核として働くことが稀にある(cross-seeding)。そこで、polyQにTIA-1^cの線維を加えたものの、polyQの線維化に大きな速度論的変化はなかった。しかし、TIA-1^cにpolyQ線維を加えるとTIA-1^cの線維化が促進されることが分かった。細胞内においても、polyQ凝集体が核となりTIA-1が凝集体に巻き込まれる様子を生細胞観察により捉えることができ、R6/2マウスにおいても、変異Httが凝集した後にTIA-1がSDS不溶性になることを確認できた。以上の結果から、異常伸長したpolyQからなる線維状凝集体が他の蛋白質の線維化を促進していることが示唆される。さらに、polyQ線維を核としたcross-seeding機構により、様々な蛋白質の機能喪失が加速度的に進行すると考えられ、発症すると急速に症状が悪化する神経変性疾患の一面を説明できる可能性がある。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2007

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] RNA-binding protein TLS is a major nuclear aggregate-interacting protein in Huntingtin exon 1 with expanded polyglutamine-expressing cells.2007

    • 著者名/発表者名
      Doi H., Okamura K., Bauer P.O., Furukawa Y., Shimizu H., Kurosawa M., Machida Y., Miyazaki H., Mitsui K., Kuroiwa Y., and Nukina N.
    • 雑誌名

      The Journal of Biological Chemistry (In press)

    • 査読あり
  • [学会発表] 家族性ALSに見られるSOD1蛋白質のアミロイド形成と翻訳後修飾過程による制御メカニズム2007

    • 著者名/発表者名
      古川 良明、金子 貢巳、山中 宏二、貫名 信行
    • 学会等名
      日本生物物理学会第45回年会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜
    • 年月日
      20071221-23
  • [学会発表] Complete loss of post-translational modifications triggers fibrillar aggreg ation of SOD1 in familial form of ALS2007

    • 著者名/発表者名
      古川 良明、金子 貢巳、山中 宏二、貫名 信行
    • 学会等名
      第67回岡崎カンファレンス
    • 発表場所
      岡崎カンファレンスセンター
    • 年月日
      20071110-12
  • [学会発表] 筋萎縮性側索硬化症に見られるSOD1蛋白質の凝集化機構2007

    • 著者名/発表者名
      古川 良明
    • 学会等名
      大阪大学蛋白質研究所セミナー
    • 発表場所
      大阪大学蛋白質研究所
    • 年月日
      20070621-22

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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