研究概要 |
エイズ患者の重篤な死因の一つであるカリニ肺炎を抑制することが知られている,天然生理活性物質papulacandinの基本骨格であるスピロ環状C-アリールグリコシドの効率的構築法の開発に成功した。本合成手法においては,糖ジィンの立体選択的合成法と独自のルテニウム触媒環化カップリング法が組み合わされ,従来にはない高効率と,天然には存在しない多様な誘導体を合成できる柔軟性とを同時に獲得した。この手法をさらにリボース由来のジインへと展開して,非天然型のスピロ環状C-アリールリボシドの構築を達成し,またチロシンから誘導したボロン酸との交差カップリングを組み合わせたアミノ酸スピロ環状C-アリールグリコシド複合体合成法を新たに創出することにも成功した。 銅塩を触媒として用い,グリオキシレート・二級アミン・末端アルキンのMannich型三成分カップリングを効率よく進行させ,グリシンでつながれた種々の二官能性不飽和化合物を調製する手法を確立した。得られたヴリシン誘導体を,イリジウムあるいはロジウムの錯体触媒を用いる環化異性化反応に適用して,天然には存在しない縮環型ピロールカルボン酸誘導体を得ることに成功した。
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