研究概要 |
平成19年度は、前年度までの知見に基づき、(1)アレンインの環化反応、(2)酸素置換1,6-エンインの環化反応を開発することが出来た。 (1)クロロ(ノルボルナジエン)ロジウム(I)ダイマー錯体と水酸化カリウムより調製したロジウム触媒(2.5mo1%)存在下、アレンインとフェニルボロン酸をテトラヒドロフラン溶媒中、50℃で12時間撹拌したところ、フェニル基を有するビシクロ[2.2.1]ヘプタノン誘導体が収率76%で得られた。この反応では、まずアリールロジウム種がアルキン部位に付加しアルケニルロジウム中間体となり、次いで分子内のアレン部位に5-Exo-Trig型で付加し環化中間体となる。さらに分子内のエステル部位に求核付加することでアルコキシロジウム中間体となり、β酸素脱離を経て触媒活性種を再生するとともにビシクロ[2.2.1]ヘプタノン誘導体が生成したと考えられる。 (2)触媒量(2.5mol%)のメトキソ(ノルボルナジエン)ロジウム(I)ダイマー存在下、前年度のメタリル基に代えてアリル基を有する酸素置換1,6-エンインとフェニルボロン酸をテトラヒドロフラン溶媒中、50℃で3時間撹拌したところ、フェニル基を有するシクロペンテン誘導体が収率72%で得られた。この反応では、(1)の場合と同様にアリールロジウム種がアルキン部位に付加しアルケニルロジウム中間体となり、次いで分子内のオレフィン部位に5-Exo-Trig型で付加し環化中間体となる。さらに、β-水素脱離、ロジウムヒドリド種の再付加、ロジウムの1,3-アリル移動を経たのち、β-酸素脱離によりシクロペンテン誘導体が得られ、同時に触媒活性種が再生すると考えられる。
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