研究概要 |
ヒマワリ(Helianthus annuus L.var.SH-222)に含まれアレロパシー活性を有するヘリアナンセスキテルペン類の中で、生合成前駆体と考えられているヘリビサボノールA, Bおよび特異なスピロ構造を有するヘリスピロンA, Cをターゲットとし、それらの初めてのエナンチオ制御全合成の達成と絶対立体構造の決定を目的に検討を行い以下に示す1〜4の成果を挙げた。 1、ヘリビサボノールA, Bに対して提出されている構造を持つ化合物を合成したが、天然物とは一致せず、いずれの構造も誤りであることを明らかにした。 2、ヘリビサボノールAについては、提出構造のジアステレオマーが天然物の正しい構造であることを合成により明らかにし、同時に絶対立体構造も決定できた。しかし、ヘリビサボノールBについては、可能性のある化合物をいくつか合成したがいずれも天然物とは一致せず、天然物の構造を明らかにすることができなかった。 3、従来の天然物には例を見ない特異なスピロ構造を有するヘリスピロンAおよびCの初めてのエナンチオ制御全合成を達成した。鍵反応として、分子内細見-桜井反応および分子内オキシマイケル反応を組み合わせて用いた。本研究により、未決定であった絶対立体構造を明らかにすることができた。 4、ヘリスピロンA, Cの全合成研究途上、ルイス酸としてTBSOTfを用いて分子内細見-桜井反応を行ったところ、炭素-酸素結合が炭素-炭素結合に変換されるという前例のない反応を見いだすことができた。今後、その一般化により、有用な方法論となることが期待される。
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