研究概要 |
ヒマワリ(Helianthus annuus L. var. SH-222)に含まれアレロパシー活性を有するヘリアナン型セスキテルペン類の中で、特異なスピロ環構造を有するヘリスピロンBをターゲットとし、その初めてのエナンチオ制御全合成の達成を目的に検討を行った。また、前年度に行ったヘリスピロンA,Cの全合成研究途上に見出した非配位型ルイス酸を用いる新規炭素一炭素結合生成反応の一般化を図った。さらに、その新規変換反応の応用展開の一環として、ヘリアンヌオールEの全合成への展開を行い、以下に示す1-3の成果を挙げた。 1、ヘリスピロンBの初めての全合成をめざして検討を行い、超原子価ヨウ素反応剤を用いる環化反応により、基本炭素骨格であるスピロ環構造を有する化合物を合成することが出来た。今後、ヘリスピロンBの全合成の完成に向けて検討を続けたい。 2、非配位型ルイス酸であるシリルトリフラートによってプロモートされる転位反応による炭素一炭素結合形成反応の一般化を検討し、そのスコープとリミテーションを明らかにすることが出来た。今後の課題は、汎用性の拡大と応用展開であり、継続的な研究を行っていきたい。 3、上記2で確立した転位反応に基づく新規炭素一炭素結合生成反応を応用することにより、ヘリアンヌオールEの4例目となるエナンチオ選択的全合成を達成した。この合成研究により、従来の方法で問題となっていた環境に適合しない反応剤の使用を避ける新たな合成ルートを開発することが出来た。
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