【研究目的】 本研究は、腸管免疫や牌臓免疫機能活性化および腫瘍血管新生抑制の両作用を合わせ持つ天然物からの生体機能成分の単離・構造決定し、それら成分の抗腫瘍・抗転移効果を検討した。 【研究業績の概要】 1.伝統的に「癌に効果がある」とされている生薬を選択し、セリ科のハマゼリCnikium japonicaからCnidimoside Aを抗腫瘍成分として単離・同定した。その作用機構は、腸管免疫機能を活性化することによって、抗腫瘍および抗転移活性を示すことを明らかにした(J. Nat. med.印刷中) 2.タイ産生薬のマメ科のCassia garrettiana心材中の抗腫瘍成分Cassialoinの作用機構解明し、Cassialoin本体が活性成分ではなく、代謝物のChrysophanol-9-anthroneおよびAloe-emodinであることを明らかにし、その作用は腫瘍血管新生に関わるVEGF産生抑制、VEGF-2発現抑制、MMP-9発現抑制以外に腸管の免疫機能の活性化に関与することが推測された(論文投稿中)。 3.セリ科のA. japnicaの抗腫瘍成分として3'-O-Acetylhamaudolを単離・同定した。その抗腫瘍効果は、VEGR-2リン酸化阻害による血管新生抑制および腸管リンパ球のNK活性増強作用の両作用によるものでのあることを明らかにした(Cancer Letter印刷中)。 4.上記化合物3'-O-Acetylhamaudolの薬物動態を検討した結果、血中において、大半が代謝され、HamaudolおよびHydroxymethylhamaudolに変換されていることが判明し、Hamaudolの腫瘍に対する影響を検討した結果、Hamaudolは抗腫瘍効果を有し、さらに脾臓免疫機能を活性化することを見出した。(投稿準備中)
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