研究概要 |
1)ニッケル触媒による、ジメチル亜鉛、アルキン、1,3-ジエン、アルデヒド、アミンの1:1:1:1:1連結反応、および1:1:2:1:1連結反応を開発した。前者は芳香族アミンを用いた場合に選択的に進み、後者は脂肪族アミンを用いた場合に選択的に進む。この反応では、反応系中でアミンとアルデヒドから調製したアルドイミンにジメチル亜鉛、アルキン、1,3-ジエンが求核攻撃し、一挙に上記反応が選択的に進行する。触媒反応としてニッケルのみを用い、助触媒を必要とせず、また、水存在下、室温で進むなどの合成的メリットの高い反応である。さらに、アルドイミンはカルボニル化合物としては最も反応性の低い官能基であるにも拘わらず、高収率で多成分連結反応が得られることは画期的である(JACS, 2006, 128, 6332-6333) 2)ニッケル触媒によるジメチル亜鉛、ω-ジエンイン、アルドイミンの反応を検討した。ω-ジエンインのアルキン部分にジメチル亜鉛が共役付加し、ジエン部分で環化し、ついでイミンに求核付加するという、効率的な環化-求核反応が進むことを明らかにした。この際、遠隔位(1,5-)の高い立体選択性がみられた。反応系中でアミンとアルデヒドから調製したアルドイミンを用いた。遠隔位(1,5-)立体選択性はアルデヒドで見られたものとは逆転したものであった(Chem.Commun.2006, 2813-2815). 3)パラジウムを触媒として、トリエチルホウ素存在下、アリルアルコールと1,3,5-ベンゼントリオールを反応させると、2,4,6-位にヘキサアリル化が進むことを見いだした。ナフトールやピロールでも同様のアリル化反応が進む。ヘキサアリル-1,3,5-シクロヘキサノンは対称性の良いオレフィン部位に富んだ化合物でポリマーのリンカーとして、またデンドリマーや機能性物質合成の原料として有用である。
|