研究概要 |
本年度の研究目的に沿って、サンゴ礁生物から見つかる細胞骨格(主にアクチン)を標的とする物質およびタンパク合成阻害剤に関連する研究を行った。 1)アクチンを標的とする物質に関連する結果としては、海綿suberites japonicusの細胞毒性成分であるseragamide Aの活性メカニズムを明らかにし報告した。一方、先にG-アクチンのサブドメイン1,3の間にはまり込むことを報告したkabiramide Cに関連する結果としては、 kabiramide Cを含有するタイ産の海綿について微量成分を検討し、kabiramide F-Iと命名した4つの新規類縁体を報告した。また、合成誘導体を含めた細胞毒性についても同時に報告した。 2)先にタンパク合成開始因子の一つeIF4A(RNA helicase)の選択的阻害剤として報告したhippuristanolについては、McGill大学のPelletierらとともにそのライフサイエンス研究用試薬としての活用を検討した。その結果、i)ウイルスのinternal ribosome entry siteの要求性を区別するのに役立つこと、ii)(ネコの)ノロウイルスがeIF4Aを必要し、hippuristanolによって効果的に阻害されること、iii)細胞でのstress granuleの生成が従来知られていたeIF2αの阻害によるルートだけではなく、翻訳の開始をhippuristanolなどに阻害することによっても起こること、などの結果が得られた。
|