研究課題
アニリドに代表されるようにC-N結合間にも軸不斉が存在する例が近年報告されている。このようなC-N間に軸不斉を有する化合物はmurrastifoline Fに代表されるアルカロイド類にも多数存在しており、その効率的な合成法の開発に興味が持たれる。一方、これまでにも軸不斉C-N結合を有するアニリドを光学活性体として合成し、立体選択的な有機合成反応に用いられているが、そのC-N結合におけるアトロブ異性体を光学活性体として得るには、キラルカラムを用いたHPLCによる直接光学分割による方法や、不斉補助基をつけてジアステレオマーとして分割する方法により調製されている。立体選択的にアニリドにおける軸不斉C-N結合を合成した最初の例として、以前我々はprochiralなアニリドをキラルなリチウムアミドを用いて不斉非対称化することにより、軸不斉アニリドを光学活性体として合成することに成功している。しかしながら、軸不斉C-N結合を有するアリールアミンに対して、立体選択的に合成した例はなく、さらにはC-N結合生成の際に軸不斉誘導する方法は最も直接的な方法であるにも関わらず、これまで全く報告例がない。我々はC-N結合生成の際に、直接軸不斉を誘起する方法論の開発を目的として検討を行った。まず、インドールとアリールハライドクロム錯体との求核置換反応が進行するかどうかについて検討を行った。様々なインドール誘導体およびクロム錯体で同反応を検討したところ、いずれの場合においても良好な収率で生成物を単一のジアステレオマーとして得ることができた。さらに、興味深いことに窒素原子のオルト位にメチル基を有する立体的に非常に混んだ2-メチルインドールを用いた場合においても、インドールの窒素原子の両オルト位における置換基のサイズを区別して立体選択的に反応が進行し、生成物を得ることができた。
すべて 2007 2006
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