ツベラクトマイシン類の新規合成法の開発に関しては、(R)-乳酸エステルより誘導される両末端にヨウ素化ビニル基もしくはジエン構造、およびα位にリン酸エステルをもつプロピオン酸エステル構造をそれぞれ含む2種類の上部セグメントの合成法を確立した。一方、(R)-リンゴ酸ジエステルより出発し、両末端にアルデヒド基および金属化(スズ、ホウ素、シリコン)トリエン構造を含む3種類の下部セグメントの合成法を確立した。これらの各セグメントをまずHorner-Wordsworth-Emmons反応にて連結し、ついで分子内sp^2-sp^2カップリングもしくはオレフィンメタセシスにての連結を検討した。その結果、分子内檜山カップリングもしくは分子内オレフィンメタセシスを経るルートにて、24員環ラクトン中間体の生成に成功した。さらには、中間体大環状ラクトンの渡環Diels-Alder反応が反応系内ですみやかに進行し、2種類のDiels-Alder環化付加体が得られた(endo体およびexo体が約1:1)。このうちendo付加体を数工程にて、ツベラクトマイシンAおよびEへと誘導した。この結果ツベラクトマイシン類の合成に関し総工程数の短縮化を実現した。 GKK1032類合成に関しては、2-methy1-1-3-pentadieneとmaleic anhydrideとのDiels-Alder環化体である置換シクロヘキセン誘導体より出発し、酵素分割による光学活性中間体の精製、および立体選択的な分子内Diels-Alder反応を経る、量的確保が可能なA/B/C環部構築ルートの開発に成功した。現在は下部13員環部の構築を検討している。 スピキュロ酸A合成に関しては、2環性骨格構築の鍵となる分子内Diels-Alder反応のための数種類の基質の効率的な合成法を確立した。
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