研究概要 |
海洋産天然物マイトトキシンは炭素数142、32個のエーテル環、28個の水酸基、2個の硫酸エステルを含む多環状工一テル構造を有しており、生体高分子を除くと天然物中で最大の分子量(3,422)をもち、カルシウムイオンチャネルに特異的に作用し非蛋白系物質として最強の毒性を有していることから大きな注目を集めている。本申請課題では、この巨大分子に関連する機能分子の創製、イオンチャネル機構解明を目指し、マイトトキシンのGHIJK環、WXYZA'環、C'D'E'F環など数種の縮環工一テル部を合成することを目的とする。 (1)SmI_2を用いたダブル環化反応を組み入れてWXYZA'環のより効率的合成を達成した。 (2)C環を出発として、SmI_2による環化反応でD環を、SmI_2によるダブル環化反応でB及びE環を一挙に構築し,ついで、B及びE環をダブル水酸基化しBCDE環部を効率的に合成した。 (3)G環とJK環を合成し、収束型合成法を用いた両者の結合を検討した。また,別ルートとして、SmI_2による環化反応を用いる繰り返し型合成法でのGHI環の合成を達成した。 (4)ヒドロキシメチルエポキシドの6-endo-環化、SmI_2を用いる環化反応、環拡大反応、S, O-アセタールへのメチル基導入などを基盤としてPQRSTUV環の合成を検討し,本部分の合成のための種々の重要な知見が得られた。 (5)合成した縮環エーテル部の結合のために,BuLiを用いるヨードエステルの分子内Barbier型反応を鍵反応として,環状エーテルの収束的合成法を開発した。 (6)分子内アシロイン縮合を鍵反応とするエーテル環合成法を開発した。
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