研究課題
これまでに環状リゾホスファチジン酸(cPA)の3位酸素原子を炭素原子に置き換えた3-Ο-carba-cPAがcPAよりもはるかに強く癌細胞の浸潤を抑制することを見出している。そこで、2-Ο-carba-cPAの生物活性に興味をもった。光学活性体の合成に先立ち、まず初めに、ラセミ体での活性評価を行った。その結果、アシル側鎖がパルミトレイン酸(16:1)およびオレイン酸(18:1)の場合に1.0μMにおいて癌細胞の浸潤を10%以下に抑制することを見出した。この結果を受け、光学活性体の合成について検討した。プロキラルな2-hydroxymethyl-5-methy-3-hexenolのリパーゼによる不斉アシル化によりキラルシントンを得ることができ、以後はラセミ体合成と同様のルートによって光学活性体の合成を現在進めている段階である。さて、cPAとLPAは相反する生理作用を示す一方で、共通の受容体を認識することも明らかとなっている。これらの違いを明らかにするためcPAに基づく分子プローブの合成を試みた。側鎖末端にアジドを導入したcPAと、リンカーを介して末端にアセチレンを有するビオチンを光反応に賦して環化付加反応を利用することによりビオチン化プローブの合成を行うことができた。今後はファージディスプレー法などによって受容体を特定する計画である。また、取り扱いが容易で、かつ合成法が簡便な分子プローブの開発についても検討した。その結果、ビーズとして有機合成用のビーズにジアジリン部分を導入したPhotoaffinity Beadsの開発に成功した。本ビーズと医薬活性小分子を混ぜて光照射するだけで分子プローブを調製することができる。
すべて 2007 2006
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