研究概要 |
イオン性結晶Cs2_Cr_3O(OOCC_2H_5)_6(H_2O)_3_2[α-SiW_<12>O_<40>][1]は層状構造を有し、層間にはCs^+が存在した。1は層を貫く[110]方向に親水性チャネル、a軸方向に炭素鎖に囲まれた疎水性チャネルを併せ持つ。親水性チャネル、疎水性チャネルの体積はそれぞれ20μL^<-1>,30μLg^<-1>であり、疎水性チャネルの最小径、最大径はそれぞれ3.4Å,5.2Åであった。1はK_2[Cr_3O(OOCC_2H_5)_6(H_2O)_3]_2[α-SiW_<12>O_<40>]と比較すると、疎水性チャネルの体積・孔径が大きく、これは層間のイオンをK^+からより大きなCs^+に変化させたためと考えられる。1の一定蒸気圧下(298K,PlP_0=0.40)におけるジクロロメタン収着量を測定したところ、経時変化のプロファイルは1次の速度式(M_t=M_e{1-exp(-k_1t})で再現された。また、ジクロロメタン収着量は水蒸気共存下でも変化しなかった。従って、1に収着されたジクロロメタンは疎水性チャネルに存在すると考えられる。次に水収着特性について検討したところ、経時変化のプロファイルは1次の速度式で再現され、1に収着された水は親水性チャネルに存在すると考えられる。水・ジクロロメタン混合蒸気下の1の重量変化を測定した。経時変化のプロファイルは、速度定数の異なる1次の速度式の重ねあわせで再現され、二つのパラメーターは、それぞれ、水、ジクロロメタン単独蒸気下のパラメーターとよく一致した。従って1の親水性チャネルへの水収着、疎水性チャネルへのジクロロメタン収着は、独立して進行すると考えられ、ゼオライトやカーボン材料の疎水性分子の収着量が水蒸気共存下で減少することとは異なっていた。さらに、1を用いて、水・ジクロロメタン混合蒸気からの水とジクロロメタンの分離回収を試みた。
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