研究課題
近年、太陽エネルギーの有効活用が注目を集めており、高効率有機太陽電池の開発に向けた研究が盛んに行われている。我々は、金ナノ微粒子を土台としてポルフィリンとフラーレンを三次元的にクラスター化させ、そのクラスターをさらに酸化物半導体電極上に組織化させることに成功している。そしてその修飾電極を用いて、色素増感太陽電池とバルクヘテロ接合太陽電池の両特性を併せ持った新規な有機太陽電池の開発に成功している。しかしながら、金ナノ微粒子はポルフィリンの励起状態を失活すること、および高価であることを考慮すると、安価な微粒子上にポルフィリンを組織化することが望まれる。そこで、我々はポルフィリン組織化の土台として、光化学的に不活性で安価なシリカ微粒子に着目し、i)ポルフィリンをシリカ微粒子上に3次元的に組織化し、さらにii)フラーレンと共に酸化物半導体電極上に集積化することで、光電変換系を構築することを目指した。今回、粒子径の小さなシリカナノ微粒子を用いて、ポルフィリン修飾シリカナノ微粒子を作製した。次にアセトニトリル/トルエン=2:1の混合溶媒中で、ポルフィリン修飾シリカナノ微粒子とC60の複合クラスターを形成し、SnO2電極上に泳動電着させた。この修飾電極を用いて、3極系で光電変換特性を評価した。その結果、光電流発生の外部量子収率は、C60の濃度比が上がると共に上昇し、最高10%となった。この値は、同程度のスペーサー鎖長を持つポルフィリン修飾金微粒子とC60複合系における類似の実験条件下の最大値と比較して、約2.5倍高い。すなわち、シリカナノ微粒子を用いることで、ポルフィリン励起状態の失活を抑制し、光電流発生効率を向上できることがわかった。
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