研究概要 |
本研究では,金属錯体の配位空間を制御することで生体内分子との反応を蛍光特性変化あるいは磁気特性変化へと変換し,生体内で機能する分子を可視化するセンサー分子を作製する.この結果,生きた状態における作用解析が可態となり,生命科学に寄与することができる.この目標を達成するため,錯体化学を用いることで,生体内分子との反応によって配位空間の変化を引き起こし,この空間変化によるエネルギー移動や磁性変化を引き起こすセンシング機能が重要になる.,錯体化学を用いることは反応点の特定化と反応に基づく配位空間の変化をもくろむことができ,生体内分子との反応を光学情報あるいは磁気情報のアウトプットとして引き出すために非常に有効である. 本年度は,細胞観察に用いることができる顕微鏡システムに応用可能であるセンサー機能を有する長長寿命蛍光ランタノイド錯体を開発することを目的とする.この場合,配位空間を精確に制御する原理に基づくことにより,精度高い生体観察技術を初めて作製することが可能となる.キノリン構造を増感色素の奉本骨格としたEu^<3+>錯体群を合成し,光学的性質を調べたところアミド修飾を行えば360nmで励起可能であることが判明した.この色素構造に基づき,長寿命Zn^<2+>栄光センサー分子をデザイン・合成した.このセンサーはZn^<2+>の添加によりEu^<3+>蛍光め増大を示した.さらに時間分解顕微鏡を立ち上げ,このセンサー分子をHeLa細胞に導入し,時間分解蛍光顕微鏡を用いてイメージングを行つた結果,ノイズレベルが低い高精度で細胞内Zn^<2+>濃度変化を検出することに成功した.本年度は,亜鉛センサーとしての機能に加え,酵素活性によって長寿命蛍光が変化するセンサー分子を作製し,新規測定システムの有用性を示すことに成功した.
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