| 研究概要 |
1.昨年度の研究で,[Pt(CN)_2(dcbpy)](dcbpy=4,4'-dicarboxy-2,2'-bipyridine)の結晶が,有機ベイパーの種類に依存したこれまでにない著しい発色・発光変化(ベイポクロミズム)を示すことを見出した。そこで,種々の条件下で現れる多彩な形態と結晶構造を検討した。また,直鎖アルキル基を有する一連のビピリジンを含む白金錯体,[PtX_2(dC_nbpy)](X=Cl^-,CN^-,dC_nbpy=4,4'-dialkyl-2,2'-bipyridine,n=5-11)の集積構造に基づく発光特性を固体状態及び溶液状態で検討した。アルキル鎖の炭素数が7より長くなると,層状構造を形成し,溶液濃度や溶媒の種類に依存した著しい発光変化を示すことが観測された。
2.有機ベイパーに感応して,発光の視覚的なON-OFFを伴うベイポクロミズムを示す白金複核錯体結晶syn-[Pt_2(μ-pyt)_2(bpy)_2](PF_6)_2(bpy=2,2'-bipyridine,Hpyt=pyridine-2-thiol)に関連して,配位子や対イオンを変えた一連の複核錯体を合成し,発光特性や環境応答性を調べた。その結果,効果的なベイポクロミズムのためには,ベイパー分子が出入りできる適度に余裕のある空間が結晶内に形成されることが重要であることが示唆された。また,配位能の異なる複数の配位サイトを持つ1,2-メルカプト-5-メチル-1,3,4-チアジアゾール(McMTH)を架橋配位子とする白金三核錯体[Pt_3(μ-McMT)_2(bpy)(trpy)_2]^<4+>(trpy=2,2':6'2"-terpyridine)の合成に成功し,PF_6塩結晶において,二つの{Pt(trpy)}^<2+>と一つの{Pt(bpy)}^<2+>ユニットがスタックしたsyn型配置の構造が見出された。
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