Cp*Ru(μ_2-NPh)(μ_2-CH_2)RuCp* (Cp*=η^5-C_5Me_5)を[Ph_3C]BF_4を用いて脱プロトン化することによりカチオン性の2核メチリジン錯体[Cp*Ru(μ_2-NPh)(μ_2-CH)RuCp*]BF_4を得、これをPt(C_2H_4)(PMe_3)_2とを反応させることで、混合金属メチリジンクラスター[(Cp*Ru)_2(μ_2-NPh)(μ_3-CH)Pt(PMe_3)_2]BF_4 (1)を合成した(収率75%)。(1)は昨年度の研究により見出した三配位カーバイドクラスター[(Cp*Ru)_2(μ_2-NHPh)(μ_2-H)(μ_3-C)PtMe(PMe_3)_2]OTf (2 ; OTf=OSO_2CF_3)が生成する過程で経由していると考えられる三配位メチリジン構造を有し、(2)の生成機構を考察する上で興味深い化合物である。(1)は単結晶X線解析により構造の詳細を明らかにした。Ru-Pt間距離は約2.80Åと金属-金属間単結合距離に相当するが、Ru-Ru間は2.5445(7)Åと短く、多重結合性を有していることが示唆される。(1)を三配位カーバイドクラスターへと変換することを目的としてNaN(SiMe_3)_2で処理したところ、μ_3-メチリジン配位子からの脱プロトン化は進行せず、代わってCp*基からの脱プロトン化により生じたフルベン配位子と架橋イミド配位子とがクラスター上でカップリングしたCp*Ru(κ^1:η^5-μ_2-NC_6H_4CH_2C_5Me_4)Ru(μ_3-CH)PtMe(PMe_3)_2 (3)が定量的に得られた。一方、HOTfを用いて(1)のプロトン化を行うと、[(Cp*Ru)_2(μ_2-CH)(μ_3-NPh) (μ_2-H)PtMe(PMe_3)_2]OTf (4)が生成した(収率31%)。(3)、(4)は^1H、^<13>Cおよび^<31>PNMR、質量スペクトル、元素分析により同定した。
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