研究概要 |
本研究では、我々の手によって世界に先駆けて開発された新規ナノカーボン「カーボンナノケージ」のバイオ・超分子分野への応用を検討した。カーボンナノケージは、鋳型としてケージ型のメソポーラスシリカKIT-5を用いることにより、入り組んだケージ構造のメソポーラスカーボンとして得た。最適化されたカーボンナノケージの比表面積および比孔容積の値は、代表的なメソポーラスカーボンCMK-3の値をはるかに凌ぐことがわかった。その機能を追及するため、ポリフェノールとしても注目されるカテキンとタンニン酸のOne-Pot分離システムを検討した。ここで採用したのは、カテキンとタンニン酸を1g/Lの当濃度で溶かした水溶液中にそれぞれの炭素素材を分散しろ過回収して吸着量を定量するというごく単純な手法である。ミクロ孔が主体の活性炭は小さなカテキンを好んで吸着する傾向にあり、CMK-3では吸着優位性が明確ではない。それに対して、カーボンナノケージは、95%程度の選択性で大きいサイズのタンニン酸を選択吸着した。このような省エネルギー型の単純なプロセスで高純度分離を実現したことは注目に値し、今後様々な生体分子の簡易分離への適用が期待される。また、カーボンナノケージの表層酸化によるカルボキシル基導入)やカーボンナノケージの交互吸着による超薄膜化にも成功しており,センサー応用の可能性について模索している。
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