研究概要 |
本研究の目的はSPring-8の高輝度なシンクロトロン放射光を使用し、界面に次元制御配列された金属錯体分子の構造を基板上に生成した状態のまま構造解析することにある.これにより、ポテンシャル制御空間を利用した分子素子、ナノ空間触媒等の開発の問題点を結晶構造の点から解明し、早期の問題解決に貢献することを目指した.本研究の特色は,これまで測定が困難であった基板上に次元制御配列された金属錯体分子の配列構造を基板上に形成した状態のまま構造解析することである.このような研究はSPring-8の高輝度なシンクロトロン放射光を使ってはじめて可能になるものである.この実現により、新機能の発現と配列構造との関係を明らかにできると考える.更に、この手法を発展させれば、様々な外場制御を行いながら構造解析することも可能となり、新機能素子開発に有効なデータを提供することが可能となる.上記目的のためにSPring-8 BL02B2に設置されている大型デバイ-シェラーカメラを薄膜測定ができるように改良した.具体的には、大型デバイ-シェラーカメラの試料位置に取り付け可能な薄膜アタッチメント1を新たに開発し、精密な試料センタリングが自動で行えるようにした.この開発により、薄膜の構造解析には不可欠な、微小角入射測定法、および、試料面内反射測定法による測定が高精度に行えるようになった.本装置を利用して本特定領域A04班、長谷川美貴研究グループと共同でステアリン酸-プラセオジム錯体膜に有機分子メレムを挿入した試料の構造決定に成功した.
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