研究概要 |
ニュートリノ振動実験においてエネルギーが精度よく決まったビームを作るためのアイデアとして、電子捕獲によるニュートリノを使うという案を以前出しました。しかし、ただ原子核に電子を捕獲させるだけでは補角率が低く、実用上使い物になりません。そこで補角率を大幅にあげるため、親の原子核にレーザーを当てるというアイデアを考え、このアイデアが妥当かどうかについて計算を行いました。基本的なアイデアは、「媒質中」(今の場合はレーザー中)であれば、電子の分散関係が変わり、その結果電子は原子核により「近い」軌道を回るので、補角率も上がる、というものです。実際計算してみたところ、充分強度のあるレーザーであれば数桁補角率を上げる可能性があるという結果を得ました。この研究については既に何回も国際会議で発表を行っています。またProgress of Theoretical Physicsへの掲載されています。 一方、超対称性を入れた標準理論以外の標準理論を超える物理の有力候補として盛んに研究されているUniversal Extra Dimension模型において、ニュートリノ振動を説明するために、Dirac型の質量を入れた模型を考察しました。この類の模型では、右巻き型ニュートリノのKalza-Kleinモードが暗黒物質の候補となり得ますが、このことについて詳細に調べました,その結果、この種の模型(ただしニュートリノを考慮していない模型)で問題であった「重力子のKalza-Kleinモードが暗黒物質になってしまい、それによってこれより少しだけ重い粒子が宇宙の発展のかなり後まで残り、それが重力子へ壊れることによって背景光子についての予言が現在の観測と異なる」という問題が解決できることを見いだしました。この研究についても、既に何回も国際会議で発表を行っており、もうすぐ論文も出版できる予定です。
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