研究課題/領域番号 |
18035006
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
飯田 敏行 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (60115988)
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研究分担者 |
加藤 裕史 大阪大学, 大学院工学研究科, 助教授 (40224547)
佐藤 文信 大阪大学, 大学院工学研究科, 助手 (40332746)
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キーワード | 核融合診断 / アルファ粒子検出 / 高温動作 / セラミック検出器 / 絶縁破壊 / 陽極酸化 / 表面酸化 / 局所放電 |
研究概要 |
高温でも動作する核融合診断用アルファ粒子検出器を試作した。高純度シリコン及びアルミニウム基板の表面を酸化させることにより、安定な絶縁薄膜を粒子検出層とするアルファ粒子検出器を製作した。酸化ケイ素や酸化アルミニウムは高温下においても非常に安定な物質である。絶縁薄膜の上には、真空蒸着法で400オングストローム程度の銀の薄膜電極を形成させた。シリコン基板については、空気中で高温にすることにより、アルミニウムについては陽極酸化法により、基板表面を酸化させた。それぞれの検出器は適当なバイアス電圧(シリコン;0.5〜3V、アルミニウム;25〜60V)の下で、標準アルファ線(Am-241)に対する応答が調べられた。銀電極からの標準アルファ線検出信号は、電荷増幅器を通してオシロスコープで観測された。温度条件は室温から450度Kまで変えられた。シリコン、アルミニウムのどちらの検出器も絶縁破壊が起きる直前の数秒から数十秒間だけアルファ粒子を検出したが、一旦絶縁破壊が起きるとバイアス電圧を0Vに戻すまでは検出不能となった。正常なアルファ粒子の検出では、大体、1x10^<-14>クーロンの電荷が銀電極に誘起された。この値は絶縁薄膜検出器全体で蓄えられている電荷量より小さく、このことはアルファ線検出によって絶縁薄膜中に局所的な放電が起きていると推測される。また、動作温度が高くなるにつれて絶縁破壊がより起こり易い傾向を示した。本研究で試作したセラミックス検出器は、現時点では、アルファ粒子のエネルギー分析機能はほとんど見込めないが、高温下でのアルファ粒子フラックスモニターとして利用できる可能性がある。そのためには、動作性能をもっと安定化させることが不可欠であり、さらなる実験とアルファ粒子検出機構についての考察が必要である。
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