研究課題/領域番号 |
18035007
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
西村 博明 大阪大学, レーザーエネルギー学研究センター, 教授 (60135754)
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研究分担者 |
西原 功修 大阪大学, レーザーエネルギー学研究センター, 教授 (40107131)
藤岡 慎介 大阪大学, レーザーエネルギー学研究センター, 助手 (40372635)
砂原 敦 (財)レーザー技術総合研究所, 研究員 (00370213)
小池 文博 北里大学, 医学部, 助教授 (90095505)
森田 繁 核融合科学研究所, 助教授 (80174423)
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キーワード | X線分光診断 / レーザー核融合 / 核燃焼プラズマ / X線画像 |
研究概要 |
レーザー爆縮高密度プラズマを対象とし、プラズマ中のエネルギー輸送診断のための新しいX線分光診断法を開発し、関連分光解析ツールを整備することを目的として研究を開始した。高速点火核融合プラズマに特有のエネルギーシフトKα線観測の新しい展開を図るとともに、X線バックライト光源の高効率化や、高時間・空間分解を可能とする新しい単色X線サンプリング画像診断法の開発を主眼に、従来の手法によるX線分光診断と併用することにより、核計測の相補的計測手段として自己加熱プラズマに特徴的な要素の解明を目指した。 本年度は、単色X線画像サンプリングカメラを開発し、その実用化へ向けた技術課題を明らかにすることを目標とした。まず、爆縮プラズマからのトレーサー選択と放射強度を考察したうえで、湾曲結晶とX線ストリークカメラとからなる単色X線サンプルカメラの設計、製作、特性評価を行った。実験に先だって、予備光軸調整のための精密治具と、カメラ本体をターゲットチェンバーに接続するための機構部の開発製作をおこなった。次に、塩素をトレーサーとして混入させた球状ペレットを開発し、爆縮実験を実施した。ペレットの直径は500μm、アブレータ層の厚み5μm、トレーサー層の厚み2μmとした。また、サンプルカメラの設定は、空間倍率26倍、空間分解能は10μm、時間分解能は20ps、スペクトル分解能(=λ/Δλ)は200とした。まず、サンプルスクとストリークカメラ結像系の確認を静止モード撮像した後、球状ペレットのレーザー爆縮を行い、塩素トレーサーからのHeα線発光履歴を観測した。今回使用できたストリークカメラは静電レンズ型であり、空間分解能は6本/mmであった。このほか、原理的に本来画像が現れない領域にまで「画像のしみだし」が見られた。また、トレーサー層が爆縮途上でアブレーション領域にまで到達し、期待した時刻よりも1.5ns以上も早く発光が開始されたため、サンプル画像同士が重なり、良好な画像を得ることが出来なかった。空間分解能向上ならびにトレーサー混入法の最適化などの課題を解決しつつ、X線分光法を中心とした爆縮プラズマ中のエネルギー輸送診断を実施する予定である。
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