研究概要 |
第一ミラー侯補材であるSUS316L,Mo,Wを試料として,1〜5keVのヘリワムイオン照射トでの光反射率の測定を行い,反射率劣化挙動の照射量,照射エネルギー,レーザー波長依存性を調べだ.また,反射率の劣化機構を調べるために,電子顕薇鏡による内部観察,表面観察,EELS測定,ガス保持特性の測定を行った.これらの結果から,監視ミラーとしての適用性ついて検討した.主要な成果は以下のようである. 1)反射率は,低照射域では,指数関数的な減哀を示し,これは,転位ループの形成と密接に関係している.高照射域では照射量とともに単調な減衰を示し,1×10^23ions/m^2では,10-20%程度まで減衰する.これは,バブルの形成と密度の増加,表面近傍の複雑な損傷構造等に関係している. 2)反射率の劣化程度は,必ずしも照射エネルギーに依存せず,光の侵入域における上記のような欠陥量,損傷構造に依存している.EELSスペクトルの測定によっても,可視光から紫外域にかけて反射係数の減衰が見られたことから,このような欠陥構造に付随する複雑な電子状態の存在によって反射率の劣化が起る機構が示唆される. 3)ミラー材として,SUS316L,Mo,Wを比較すると,可視光域では,未照射状態での反射率が最も高く,高照射域でも表面損傷の少ないSUS316Lが最も高い反射率を維持する.しかし,紫外域ではSUS316Lの反射率は急激に低下する.これらの結果は,各材料の電子構造と損傷形成に依存しており,スパッター率の最も低いWが必ずしもミラー材として最適ではないことを示している.測定に使用されるレーザー光の波長域によって十分検討される必要がある. 4)その他,ステンレス鋼における水素やヘリウムガスの保持特性に関するMoやWの添加の効果,さらには,LHDプラズマ実機環境下での数keV CX粒子による損傷形成,等に関する新しい知見が得られた.
|