研究概要 |
ガンマ線生成核反応を利用して、年少プラズマ中の高エネルギー粒子を診断する ガンマ線生成核反応を利用して、燃焼プラズマ中の高エネルギー粒子を診断する方法を提案検討した。基本的なアイデアはDTプラズマに少量の^6Liを混入して^6Li(t.pγ)^8Li反応で発生する0.981MeV-γ線を測定し、そこから高速イオン(ノックオントリトンやアルファ粒子)に関する情報を得るというものである。この反応には、1)閾エネルギー(重心系で181keV)が存在するため、高速トリトンが引き起こすチャンネルが主要になる、2)生成核^8Liの寿命が短く(〜12fs)、γ線エネルギーの広がりは^8Liの放出スペクトルと強く相関する、という特徴がある。 18年度はまずFokker-planck方程式を用いてITER級の燃焼プラズマ中の高速トリトンの分布関数を計算し、0.981MeVγ線の発生率とエネルギースペクトルを評価した。次に高速トリトンのエネルギー分布やα粒子の閉じ込め特性を、0.981MeVγ線の計測に基づいて診断する可能性を検討した。結果は以下のとおりである。 (1)典型的なプラズマ条件(温度T〜20keV,密度n_D=n_7=0.5×10^<20>m^<-3>,E_<NBI>=1MeV.P_<NBI>=50MW.体積815m^3)と^6Li濃度(n_<Li>,=0.O1n_T)のとき、0.981MeVγ線の発生に最も寄与するのはα粒子のノックオン衝突で生成されるトリトンであり、入射Dビームのノックオン衝突やDD反応で生成されるトリトンの寄与は小さい。 (2)αノックオントリトンの分布関数は、ある実効温度T_<eff>と実効密度n_<eff>を持つ解析的な式で近似できる。従ってγ線発生率はT_<eff>とn_<eff>の関数として表すことができ,T_<eff>はプラズマ温度Tと相関を持つ。 (3)生成核8Lfのエネルギースペクトルを反映して、0.981Mevγ線もエネルギーの広がり(半値全幅1〜20keV)をもつ。γ線スペクトルはガウス分布で近似でき、分布の広がりの度合いを表すパラメータλはノックオントリトンの実効温度T_<eff>と相関を持つ。 (4)以上のことから、計測されたγ線エネルギー分布からλが決まると、プローブ曲線からT_<eff>が求められる。またγ線発生率の計測値と計算式からノックオントリトンの実効密度n_<eff>が決まると言える。 (5)実験的に得られた(T,T_<eff>)のプロットが高エネルギー粒子に対するFokker-Planck計算で得られた理論相関曲線の近傍にあるか否かで、α粒子の閉じ込め特性が古典的であるか否かを判断することができる。
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