1.細胞表面受容体のオリゴマー化モニタリング系の開発 細胞膜受容体であるRAGE (receptor for advanced glycation endproducts)をモデルとし、2分子FRET法により受容体オリゴマー化をモニタリングする技術を確立した。これにより、受容体の蛍光タンパク融合組換え体を作製することなくFRETでオリゴマー化をモニタリングすることが可能となった。 (1)RAGE細胞外ドメインに結合し、かつRAGEとリガンドとの結合を阻害しないモノクローナル抗体を作製し、FRETのドナーとアクセプターの対をなす2種の蛍光色素で標識した。 (2)RAGE過剰発現細胞株の培養液中に上記の2種の蛍光標識抗体を加え、生細胞表面のRAGEを蛍光標識し、RAGEのオリゴマー化をFRETシグナルの変化を測定することによりモニタリングした。 (3)その結果、リガンド刺激後20分をピークとするFRETシグナルの上昇が検出され、本技術の有効性が示された。 2.1分子FRET法による細胞内シグナルモニタリングと受容体発現量の相関関係の解析 細胞内シグナル強度のモニタリングと、受容体の発現量解析を同時に行うことにより、受容体発現量とシグナル強度の相関解析が可能な系を開発した。 (1)NFκBの活性化によりβ-ラクタマーゼを発現するレポーター遺伝子を組み込んだ細胞株に、RAGE発現ベクターを導入した。 (2)上記細胞にβ-ラクタマーゼによる分解で分子内FRETが消失する蛍光色素分子を取り込ませ、FRETシグナルによりNFκB活性化を検出すると同時に、蛍光抗体でRAGEを標識し発現量を測定した。 (3)その結果、RAGE発現量が中程度の細胞において最も強くNFκBが活性化されており、発現量が過剰な細胞ではむしろ活性化の程度が低いことが明らかとなった。
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