研究課題
本研究は、幅数ミクロンのテーパー状流路に、圧力と電圧を同時に印加して生体物質を流すと、DNA等長鎖状の分子を選択的にトラップ・抽出・濃縮できる技術を用い、1細胞からmRNAを抽出・精製するチップの開発を目的とする。本年度の成果を列挙する。1.RNA抽出条件の精査RNAはDNAと違い、まずsingle strandであり、自己会合しやすく、また鎖長も様々であるため、DNAトラップのノウハウがそのまま利用できないと考えられる。そこで、本課題では、まず、RNAを選択的にトラップできる条件を探る。具体的には、流路大きさ、圧力、電圧、ランニングバッファー、変性剤の有無、mRNA標識剤の有無などを調べた。その結果、なによりもランニングバッファーの影響が大きいことが分かり、この組成、調整方法を精査した。最終的には、マイルドに変性させる条件下で、効率よく、RNAをトラップできるランニングバッファーが得られ、特許化を行った。これにより、20〜100塩基程度のRNAがトラップできた。これはDNAトラップをもしのぐ成果であり、近年注目されているRNA干渉などの実験への応用も十分期待できるレベルである。2.単一細胞よりRNAを抽出するチップの設計検討実際に1細胞のRNAを瞬間的に抽出可能な、次に挙げる部位より構成されるチップの作製を目指し、本年度は詳細の検討、及び抽出部の試作を行う。2-1 1細胞供給部位 一細胞を抽出部位に供給する 2-2 細胞破砕部 流路を通る一つの細胞に、適確な濃度の細胞破砕液を作用させ、細胞を破砕すると同時に酵素を破壊する。2-3 RNAトラップ&捕集部 テーパー状流路を用いて、RNAのみを選択的に捕集し、別流路に精製・分岐する。以上の各ステップを別々にチップ化し、具体的に検討をおこなった。その結果、ほぼ当初の予定通りの成果を得ることができた。
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