本研究では、静岡がんセンターにおいて樹状細胞によるワクチン投与を受けた転移性メラノーマ患者よりえあれたTおよびB細胞からのがん特異的抗体、及び特異的T細胞リセプター遺伝子のスクリーニングを行なうため、1細胞レベルでの細胞分離が可能なアレイ、標的細胞の検出、1細胞からのmRNA抽出技術を開発することを目的とする。CTL細胞に関しては、HLA拘束性のMART、gp100ペプチド及びA24拘束性MAGE1、MAGE3ペプチドにそれぞれ特異的なテトラマー試薬を用いて、ペプチドの特異的なCLT lineを数種類樹立し、発言するT細胞リセプター遺伝子のクローニングに成功している。(特許出願済)。この中で、メラノーマ患者のgp100 A2ペプチドに特異的なCLT lineを使用して、CD8+/gp100 A2 tetramer+画分の細胞をsortingした。東京農工大のグループが開発したセルチップを用いて蛍光標識されたCTL細胞を1細胞レベルで検出することが可能となった。セルピッカーを使用して1個のCTL細胞を採取し、total RNAの抽出・cDNA化後、特定のTCRレパトワ特異的なプライマーおよびGAPHDプライマーを使用してPCR増幅を行なった。採取した5個のTCL細胞のうち3個で特異的なTCR遺伝子が効率的に増幅された。一方、GAPHD遺伝子は、全細胞において増幅が確認された。増幅された特異的なTCR遺伝子産物を切り出し、クローニングを施行し、最終的なgp100ペプチド特異的なTCR遺伝子配列を得ることができた。 またB細胞においてもEB virusにより不死化したB細胞株についてHLA-A24拘束性MAGE1ペプチドに特異的な細胞を同定することが可能となり、今後セルチップを用いてCTLと同様のアプローチによりペプチド特異的な抗体遺伝子のクローニングを行なう予定である。
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