研究概要 |
フェニル型、ナフタレン型3種、およびペリレン型の5種の全芳香族ポリイミドを相当する酸無水物可溶物とα,ω-芳香族ジアミンから合成し、これらを用いて、CNTを孤立溶解する能力があることを見出し、その特性を調べた。極性置換基がないポリイミドは溶媒に木溶であるが、スルホン酸基のような極性置換基の導入で、DMFやDMSOに可溶なポリイミドが合成出来る。これらのポリイミドで単層カーボンナノチューブ(SWNT)の可溶化実験を行ったところ、可溶化には、溶媒の影響が大きいが、いずれもSWNTを高効率に可溶化すること、可溶化能がない溶媒でも、希釈により混合溶媒溶液が作成可能であることがわかった。また、可溶化したCNTの近赤外吸収スペクトルは、孤立溶解ナノチューブに見られる特徴的なバンド構造を反映していた。また、可溶化溶液の近赤外フォトルミネッセンススペクトル測定より、ポリイミド/SWNTs DMSO溶液には、多数のカイラル指数のSWNTが溶解しており、それらは、(7,6),(8,4),(9,4),(9,5),(10,3),(11,4),(10,8)のナノチューブのカイラリティをもつことが決定出来た。一方、本系での濃度が高くなると溶液はゲル化することがわかった。また、原子間力顕微鏡を用いて、全芳香族ポリイミド可溶化SWNTのナノ構造を調べた。一方、ポリイミド可溶化CNTは、溶媒からのキャスト法にてフィルム化が出来ることがわかった。
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