本研究では、ナノメートルオーダのギャップを持つ固定電極をナノリンク分子により修飾することにより機能性分子あるいは金属微粒子をクーロン島として有する二重トンネル接合を作製し、機能性分子・金属微粒子と固定金属電極間に働く相互作用をナノリンク分子により制御した単分子素子において再現性のあるI-V特性を計測し、ナノリンク分子接合における電気伝導機構を解明することを目的とする。具体的には、ナノリンク分子を二重トンネル接合障壁として用いた単分子素子の作製プロセスを確立することを第一の目的とし、機能性分子あるいは金属微粒子-電極間の力学的・電気的相互作用をナノリンク分子により制御した単分子素子における電気伝導機構を解明することを第二の目的とする。平成18年度は、電子線ビーム露光を用いて形成したエアブリッジマスクと斜め蒸着手法を用いてナノメートルオーダのギャップを有する固定電極の作製を行い、Au/ニトロOPE分子自己組織化単分子膜/Au構造素子のI-V特性を測定した。また、電子線ビーム露光を用いて形成した30nm程度のギャップを有する電極に、無電解めっきを行うことにより、5nm程度のギャップを有するナノギャップ電極を再現性良く形成する手法を確立した。さらに、トンネル障壁として、エチルキサンテート、ジメチルジチオカーバメート、ジエチルジチオカーバメートの自己組織化単分子膜を新たに導入し、走査型トンネル顕微鏡を用いて、それぞれの自己組織化単分子膜のトンネル抵抗を見積もった。
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