研究概要 |
スピン3重項超伝導の電子対が持つスピン自由度はdベクトルという3成分を持ったベクトルによって記述される.実際スピン流を観測するには,電流公式やスピン流の公式を導くという簡単な模型に基づく解析的な計算による物理現象の定性的な理解だけでなく,物理量の定量性を明確にする必要がある.我々は二つの超伝導体で絶縁体をはさんだジョセフソン接合におけるスピン流の性質をボゴリュウボフ・ドゥジャン方程式を解析的に解く事によって明らかにした.その結果,スピン流は異常な温度依存性を示しまたその大きさも極めて大きいことをあきらかにした.これらの異常さは異方的超伝導体特有の現象であるミッドギャップアンドレーエフ共鳴状態が形成した結果である事を議論した. スピン流を観測するためには,何らかの方法でスピンの流れを制御しなければならない.超伝導体を流れるスピン流はクーパーペアが担い,クーパーペアは電荷の自由度を持つために電磁場と結合している.我々はこの性質に着目し,電場勾配や磁場によってスピン流が制御できる事を示した.特にジョセブソン接合に電場を書けた場合,交流スピン流が得られるという重要な結論を得た.これらのほかにも強磁性体をはさんだジョセブソン巣都合においてスピンのそろったクーパーペアが流すジョセブソン電流も考察した.
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