研究課題/領域番号 |
18043009
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高木 英典 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (40187935)
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研究分担者 |
野原 実 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 助教授 (70272531)
竹下 直 独立行政法人産業技術総合研究所, 強相関電子技術研究センター, 研究員 (60292760)
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キーワード | モット転移 / 量子臨界点 / 乱れの効果 / Niパイライト / 弱強磁性体 / SCR理論 / 高圧測定 |
研究概要 |
本研究課題では典型的なモット転移の系であるパイライト型NiS2に着目し、圧力誘起モット転移の臨界指数およびユニバーサリティクラスを明らかにする。これを通じてモット転移系の臨界挙動の一般化に貢献すると同時に、パイライト型硫化物の特性を生かして、臨界挙動に対する乱れの効果、幾何学的フラストレーションの効果の検証を行う。同時に、上記実験の延長線上で、圧力相図上に隣接する反強磁性金属-常磁性金属転移に伴う磁気的量子臨界点の超伝導探索、非フェルミ液体状態の探索を行う。 第一年度は、ブリッジマン型高圧セルの改良を進め10GPa程度の圧力まで希釈冷凍機温度での測定を可能とした。これによりクリーンなNiS_2において磁気的量子臨界点(Pc=7.5GPa)に到達できた。電気抵抗率から温度-圧力相図をまとめたところ、反強磁性金属相ではフェルミ液体挙動(T^2)が観測されたが、Pc以上の常磁性領域では、TL5依存の非フェルミ液体挙動が極めて安定に存在することが明らかになった。一方で、化学ドープによって乱れを導入したNis_<1.7>Se_<0.3>の温度-圧力相図では、教科書通りに、磁気的量子臨界点(Pc=2GPa)においてのみ非フェルミ液体挙動(T^<1.5>)が現れ、臨界圧を挟む反強磁性相と常磁性相でフェルミ液体挙動がV字型となって回復する様子が観測できた。 また、「強磁性」磁気的量子臨界点を持つ典型物質ZrZn_2においても温度-圧力相図をまとめたところ、クリーンなZrZn_2では臨界圧を挟む広い圧力領域においても非フェルミ液体挙動が安定に存在することが明らかになった。 これらの結果は磁気的量子臨界点の臨界挙動が乱れに敏感であることを疑い無く示している。
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