数値計算技法のひとつである経路積分量子モンテカルロ法を用いて、ナノスケールの半径を持つケージ中に数個のヘリウム4原子を閉じ込め、幾何形状に起因する粒子交換の影響を調べた。まず、ケージの表面を鏡面とし吸着ポテンシャルを無視したモデルを提案した。これは、制限された空間では運動エネルギーの効果が大きく、吸着ポテンシャルが粒子交換に与える影響は小さいと考えられることによる。一方で、粒子間ポテンシャルは厳密に取り入れ剛体芯に起因する幾何学的フラストレーション効果を取り入れた。その結果ケージが十分狭く、粒子数が4個のとき、粒子は正四面体の頂点位置に配置して、粒子交換が起こらずにボーズ統計性を示さなくなることが理解され、論文にまとめた。 回転する円筒状エアロジェル中の超流動ヘリウム3B相の織目構造を計算した。これにより、エアロジェル中においてもフレアアウト状のn-ベクトル構造が存在し、それに伴う核磁気共鳴信号が得られていることが判明した。さらにこの信号を解析することで、エアロジェルの異方性が秩序状態に強く影響を与えていることが理解され、成果を論文にした。 グラファイト上に吸着されたヘリウム原子が作る構造を、経路積分量子モンテカルロ法を用いて解析した。Binderパラメターを利用してサイズ効果を観測することで、吸着第二層目の融解温度を決定したところ、実験とよく合う値が得られた。また、第二層目の安定な配置構造を提案した。この結果については、現在論文を作成中である。
|