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2007 年度 実績報告書

スピン-格子結合系の強磁場制御とX線分光の理論

研究課題

研究課題/領域番号 18044001
研究機関東北大学

研究代表者

石原 純夫  東北大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (30292262)

キーワード強磁場物性 / 電荷秩序 / 磁気誘電現象 / フラストレーション / 軌道自由度 / モンテカルロ法 / 遷移金属酸化物 / 強相関電子系
研究概要

層状鉄酸化物RFe204(Rは布土類金属イオン)はFeイオンの3d電子が糸の誘電性を支配することが指摘されている。本年度の研究ではこの層状鉄酸化物における磁気誘電性とその強磁場制御について理論解析を行った。まず拡張されたpd模型を元に電荷、スピン、軌道自由度に関する有効模型を導出した。これをもとにこの物質の物性を担うと三角格子二重層において、マルチカノニカル法を利用した古典モンテカルロ法によりこの模型の解析を行った。得られた主な結果について以下にまとめる。有限温度において電気分極を伴った3倍周期の電荷秩序状態が安定となることが明らかとなった。これは三角格子における電荷のフラストレーションとエントロピーの効果によるものである。更に磁気秩序温度以下で電気分極が著しく増大することが示された。これは超交換相互作用項における電荷とスピン自由度との結合、ならびに三角格子におけるスピンフラストレーションに起因するものであり、電荷秩序型誘電体におけるマルチフェロイクスの可能性を始めて指摘したものである。また磁気秩序強誘電相において、誘電分極が大きな磁場効果を示すことを明らかにした。これは磁場印加によりスピンのフラストレーションが抑制され、これに伴っていた電気分極が減少したものである。このような電荷・スピンのフラストレーションに起因する特異な誘電現象における磁場効果を始めて予測したものであり、今後実験による検証が望まれる。最後に電場の印加によりフェリ磁性秩序のコントロールが可能であることを理論的に予測した。以上の理論解析により電荷秩序型誘電体の特異な現象の起源と磁場による操作の可能性を明らかにした。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2008 2007

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Polarization Dependence of Resonant lnelastic Scattering Spectroscopy in Correlated Electron Systems2008

    • 著者名/発表者名
      S. Ishihara and S. Ihara
    • 雑誌名

      Jour. Phys. Chem. Sol. (掲載決定)

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Electric Polarization, Magnetoelectric Effect and Orbital State of Layered Iron Oxide with Frustrated Geometry2007

    • 著者名/発表者名
      A. Nagano, M. Naka, J. Nasu, and S. Ishihara.
    • 雑誌名

      Phys. Rev. Lett. 99

      ページ: 217202-1-4

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Dilution Effects in Two-dimensional Quantum Orbital System2007

    • 著者名/発表者名
      T. Tanaka and S. Ishihara.
    • 雑誌名

      Phys. Rev. Lett. 98

      ページ: 256402-1-4

    • 査読あり
  • [学会発表] Multiferroic Properties in Frustrated Iron Oxides RFe_2O_42007

    • 著者名/発表者名
      M.Naka, J. Nasu, S. Ishihara
    • 学会等名
      4th International Symposium on High Magnetic Field Spin Science in 100T
    • 発表場所
      仙台
    • 年月日
      2007-11-26

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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