研究概要 |
分子は、一般に分子間相互作用により錯体や自己会合体などを形成する。これらの構造を証明するために、MSやNMRなどが活躍することは多い。我々は、これまでCSI-MSやNMR法を用いて水素結合を中心とする弱い分子間力で結合する化合物の溶液動態構造解析の手法を確立してきた。1-alky1-3-methylimidazolium halideのアルキル側鎖(R)及びイオン種(X=Cl, Br, I)を変えたものを合成し、初めに[bmim]Brの灘造解析を、拡散係数(D)・緩和時間(T_1,T_2)測定等のNMR手法を中心に行った。 [bmim]BrのD_2O, CD_3CN及びCD_3OD中の[bmim]^+の拡散についてBPP-STE法を用いて測定した。また^<81>Br^-は、横緩和時間(T_2)から運動性を評価した。CD_3CNとCD_3OD溶液の拡散係数は予想通り濃度の減少と共に、大きくなった。しかしD_2O溶液において、0.10Mより低濃度になる程拡散係数が減少するという特異的な結果を得た。溶媒であるD_2OのDも[bmim]^+と同様の変化を示すことから、この現象はcage効果を受け[bmim]^+の拡散係数に変化をもたらしたと考え報告した。 結晶化は困難と考えられていた[bmim]Iの単結晶を合成し、X線構造解析を行った。[bmim]I結晶でのブチル基はGauche-Trans formであった。同じ立体配座をとる[bmim]Brや[bmim]Cl 2型とは異なる結晶構造であったことは興味深い。 R=propyl, X=Brで、2位の置換基効果を検討するためにメチル基を導入した化合物を合成し、X線構造解析を行った。プロピル基の付け根のメチレンと4,5位の3つの^1Hとが一つのBr^-と水素結合をすることにより、安定構造を取っていることが分かった。
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