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2006 年度 実績報告書

イオン液体構成イオンの会合性と溶媒間移行特性の解析

研究課題

研究課題/領域番号 18045007
研究機関千葉大学

研究代表者

勝田 正一  千葉大学, 理学部, 助教授 (40277273)

キーワード分析科学 / 分子認識 / イオン液体 / イオン会合 / 溶液化学
研究概要

1.ジクロロメタン中におけるイオン対生成定数: アルキル鎖長の異なる一連の1-アルキル-3-メチルイミダゾリウムイオン(RMeIm^+)およびテトラアルキルアンモニウムイオン(R_4N^+)と数種の陰イオン{PF_6^-,TFSI^-(bis(trifluoromethylsulfonyl)imide),Pic^-(picrate)}との塩について,ジクロロメタン中におけるイオン対生成定数K_<IP,o>(25℃,無限希釈)を,電気伝導度法により決定した。R_4N塩では陽イオンのアルキル鎖長が増すにつれてK_<IP,o>が低下したが,RMeIm塩ではアルキル鎖長の影響はほとんどみられなかった。また,RMeIm塩のK_<IP,o>はR_4N塩の値に比べてかなり大きいことがわかった。このようなRMeIm塩の特徴を考察するため,分子軌道法(DFT法)を用いてイオン対の最安定化構造を計算した。その結果,次のような知見が得られた:(1)R_4N塩の場合は,陰イオンが陽イオンのアルキル鎖の隙間から中心のN原子に近づいており,アルキル鎖長の増大に伴いイオン間距離が長くなる;(2)RMeIm塩では,陰イオンは陽イオンのイミダゾリウム環に接近しており,アルキル鎖長が変化してもイオン間距離はほとんど変化しない;(3)陽イオンと陰イオンの電荷中心間の距離は,R_4N塩よりもRMeIm塩のほうが短い。以上より,ジクロロメタン中でのイオン対生成におけるRMeIm塩とR_4N塩との違いは,静電的相互作用の観点からイオン対の構造に基づいて説明できることがわかった。
2.水中におけるイオン対生成定数:水中におけるRMeIm塩及び1-アルキルピリジニウム塩(RPy塩)のイオン対生成定数K_<IP,w>(25℃,無限希釈)を,キャピラリー電気泳動法により決定した。K_<IP,w>の値は,陽イオンのアルキル鎖が長いほど大きく,また陰イオン依存性においても概して嵩高いイオンほど大きくなる傾向が見られた。これはジクロロメタン中でのイオン対生成で見られる傾向とは異なることから,イオンの水和の寄与に帰着された。アルキル鎖長が等しいRMeIm^+とRPy^+のK_<IP,w>値は互いに近く,水中でのイオン対生成においてこれらの陽イオン間の違いはほとんどないことがわかった。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2007 その他

すべて 雑誌論文 (2件)

  • [雑誌論文] Ion Pair Formation of 1-Alkyl-3-methylimidazolium Salts in Water2007

    • 著者名/発表者名
      Shoichi Katsuta
    • 雑誌名

      Journal of Chemical & Engineering Data 52・1

      ページ: 248-251

  • [雑誌論文] Tetraalkylammonium Picrates in the Dichloromethane-Water System : Ion-Pair Formation and Liquid-Liquid Distribution of Free Ions and Ion Pairs

    • 著者名/発表者名
      Shoichi Katsuta
    • 雑誌名

      Journal of Solution Chemistry (印刷中)

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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