研究課題
アート錯体は、中心金属、配位子の数や種類、カウンター金属など機能を制御し得る要因を数多く有するという構造的特徴により、分子認識および機能発現に多くの可能性を秘めた錯体です。この特徴をうまく利用することにより、能動的に様々な機能反応性を設計することができます。筆者は、これまでにアート錯体を用いて、ハロゲン-亜鉛交換反応に有効な錯体、還元反応を行う錯体、高い塩基性を有する錯体、シリル亜鉛化反応を行う錯体^<4、>電子移動を行う錯体ならびに、機能性高分子合成ついて、デザイン・創製を行い、報告してきました。これらの多様性あるアート錯体の高い反応性は、イオン性液体の特徴ある性質と組み合わせることでさらなる反応性が期待できます。一方で、オニウム構造を基本とするイオン性液体は、分子が"cationically"に活性化されているため、アルキルリチウムやGrignard試薬に代表される有機金属試薬との共存は不可能であるとされてきました。このことが、イオン性液体中でのアニオンの化学に大きな障害となり発展が閉ざされてきました。初年度である今年は、イオン性液体と共存しうるアート錯体の創製に向けて研究に着手しました。特に、有機金属試薬の最も難しい課題の一つである『塩基性を持たないメタル化試薬の開発』に挑戦し、新しい化学選択性を持ったアート錯体の創製に成功しました。
すべて 2007 2006
すべて 雑誌論文 (5件)
J. Am. Chem. Soc. 129
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J. Am. Chem. Soc. 46
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Angew. Chem., Int. Ed. 129(印刷中)
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