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2006 年度 実績報告書

機能性リン脂質の酵素合成におけるイオン性液体添加効果の解析

研究課題

研究課題/領域番号 18045016
研究機関金沢大学

研究代表者

荻野 千秋  金沢大学, 自然科学研究科, 助手 (00313693)

研究分担者 清水 宣明  金沢大学, 自然計測応用研究センター, 教授 (50019634)
キーワードイオン液体 / リン脂質 / 放線菌 / ホスフォリパーゼD / リン酸基転移反応 / 3相系反応
研究概要

ホスホリパーゼD (PLD)は、リン脂質を基質として加水分解反応、リン酸基転移反応の二つの反応を触媒する酵素である。PLDを用いて、リン酸基転移反応を利用することで希少なリン脂質や、新規のリン脂質を合成することが可能である。あらゆる生物種に存在するPLDには、HxKxxxxD (HKDモチーフ)と呼ばれる、共通したアミノ酸配列が2回繰り返され、各HKDモチーフの下流にグリシン・グリシン(GG)、グリシン・セリン(GS)モチーフ配列が保存されている。本研究室ではこれまでにこのGG/GSモチーフへのセリン残基の導入により、変異体(G215S, G216S, G216S/S489G)を取得している。本研究では、これらのPLDを用いてPhosphatidyl-choline (PC)からPhosphatidylserine (PS)の合成系にて、基質であるPCを溶解させる溶媒に着目してPLDの反応特性を解析した。また、第三の溶媒とされるイオン液体についてもPCの溶媒としての可能性を検討した。イオン液体は不揮発性であり、水や有機溶媒と相分離するなど、今までの溶媒の特性にはない特徴を有している。高さ10cm、直径1.6cmのねじ口瓶を反応器として用い、二相系、または三相系にて反応させた。反応には、有機溶媒に溶解した3.5mM PCを1ml、水相に2.5ML-Serine 1ml、200mM Phosphate buffer (pH5.8)300・l、PLD100・lを用いた。三相系では、上記組成にイオン液体を0.5g加えた。イオン液体は、カチオンにイミダゾリウム系の化合物、アンモニウム塩などで、アニオンにBF_4^-、PF_6^-、TFSI^-などから構成される。反応温度30℃で規定時間攪拌させ、有機相を分離後、試料を採取し、HPLC(東ソーTSK-GEL Silca-60、カラム温度37℃、流速1.1ml/min、吸光度210nm)にて定量分析を行った。また、有機溶媒やイオン液体と酵素を接触させて酵素の安定化を調べた。実験方法は、PLD500μlにそれぞれ等容量加え、数日間攪拌させた後、酵素活性を測定した。
二相系において、有機溶媒にDiethyl ether、n-Hexane、n-Hexane:Aceton (8:2v/v)を用いた結果、Diethyl ether系にて高いPSの生成が確認出来た。また、変異を導入していない方が高い転換率が得られた。一方、n-HexaneではほとんどPSは合成されなかった。そこで、n-Hexaneにイオン液体を添加し三相系にて反応を行った。その結果、アニオンにTFSI^-をもつイオン液体を添加した時に、若干PSが増加した。このことから、酵素活性を阻害するn-Hexaneからイオン液体が酵素の構造(もしくは活性)を保護したことが考えられる。実際に、接触させた場合に酵素活性の向上、または不活性化の緩和がみられた。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2007 2006

すべて 雑誌論文 (5件) 産業財産権 (1件)

  • [雑誌論文] Sonocatalytic degradation of methylene blue with TiO2 pellets in water2007

    • 著者名/発表者名
      N.Shimizu, C.Ogino, M.F.Dadjour, T.Murata
    • 雑誌名

      Ultarson.Sonochem. 14

      ページ: 184-190

  • [雑誌論文] Continuous production of phospholipase D using immobilized recombinant Streptomyces lividans2007

    • 著者名/発表者名
      C.Ogino, M.Kanemasu, T.Kubo, T.Yoshino, A.Kondo, H.Fukuda, N.Shimizu
    • 雑誌名

      Enzyme Microb.Technol. (印刷中)

  • [雑誌論文] Disinfection of Legionella pneumophilia by Ultrasonic Treatment with TiO22006

    • 著者名/発表者名
      F.D.Mahmoud, C.Ogino, S.Matsumura, N.Shimizu
    • 雑誌名

      Water Res. 40

      ページ: 1137-1142

  • [雑誌論文] Enhancement of sonocatalytic cell lysis of Escherichia coli in the presence of TiO22006

    • 著者名/発表者名
      C.Ogino, M.F.Dadjour, K.Takaki, N.Shimizu
    • 雑誌名

      Biochem.Eng.J. 32

      ページ: 100-105

  • [雑誌論文] ナノテクノロジーによる新規がん治療法2006

    • 著者名/発表者名
      清水宣明, 荻野千秋, 高木圭子, 山岸紗也花, 野瀬律子
    • 雑誌名

      最新医学 特集がん領域におけるドラッグデリバリーシステム(DDS) 61(6)

      ページ: 1075-1083

  • [産業財産権] 放線菌を宿主とする新しいタンパク質発現系開発と応用2007

    • 発明者名
      荻野 千秋, 清水 宣明
    • 権利者名
      金沢大学
    • 産業財産権番号
      特許出願2007-032648
    • 出願年月日
      2007-02-13

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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