研究概要 |
世界初のマイクロプロセッサはその発想と基本構想が我が国の機械式計算器と電卓を製造していた企業によることが広く認められている.この歴史的事実の周辺を技術の基盤化の観点から捉え,また,当該技術が社会に急速に浸透した過程を文献や調査資料をもとに記述することが目的である.初年度は以下の事柄について研究を推進した: 1.その企業経営者と技術者の親睦会に参加し,直接面接を行い当時の開発状況を取材し,ビジコン社の技術者集団の特徴を取材した. 2.当時のビジコン社の小島社長と面談し,機械式計算器から電卓そしてOne-chip Computerの発想と基本設計に至る開発の背景を取材し,これまでに知られていなかった新しい事実が取材できた.尚,この取材の内容は,本特定研究の特徴でもあるOral Historyとして収録する同意を得ている. 3.小島社長への取材を通じて,小島氏の所蔵する貴重資料の国立科学博物館への提供にも同意されている. 4.本研究は,日欧語で書かれた文献資料を丹念に探索することが分析上の有力な手段として位置づけている.そのための各種の言語の文献資料に対応するために,UTF-8の文字情報を正規表現にて検索できるWeb Applicationを作成した.尚,研究終了後にGNUの考え方で公開する. 5.UTF-8の文字符号で,研究者個人が利用する目的で,書籍を含む印刷物のDigital化や学出雑誌等の電子出版物など,多方面の題材から収集し,上記のWeb Applicationで利用できるDigital情報として収録を行った.収録量は約3000万文字に達していおり,今後も収集量が増加している. 初年度の研究実績は,次年度に繋がる資料の収集と探索道具の開発がおもなものである.
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