研究概要 |
研究初年度は,技術革新の構成論的研究手法の有効性をシステム論的に分析した.また,産業技術の発展と社会受容に関して分析を行うとともに,イノベーション普及過程を計算機実験と被験者実験によって分析した.具体的には以下の通りである. 1.構成論的アプローチのシステム論的分析 既存の技術革新のアナリシスと,その知識基盤を基にしたシンセシスによる技術革新の構成論的アプローチについて,システム論的分析し理論構築を行った.また,サービスのイノベーションモデルについてもシステム論的分析を行った. 2.産業技術の発展とその社会的受容 CCD,液晶,携帯電話などを題材に,新技術の発展とその社会受容に関して分析を行った.個々の「技術」は様々な商品を使いながら段階的かつ複線的に発展し,また個別の「商品」は多様な技術や社会経済システムが結合されたときにはじめて実用化される共通の構造を持っていることが明らかになった. 3.イノベーション普及の構成論的分析 ネットワーク外部性を有する製品を対象に,イノベーション普及過程をマルチエージェントシステムによる計算機実験と,実験経済学に基づく被験者実験によって分析を行った.シンセシスとアナリシスの双方向作用を用いる構成論的手法のシステム理論的な分析に対する有効性を検証した.
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