本研究の対象は、電気洗濯機、電気扇風機の2種類とする。明治末から昭和30年代初期までの文献史料、特許及ぴ意匠権資料、日本国内のフィールド調査による資料、海外のフィールド調査による資料を収集し、これらの資料を総合的に比較、検討した結果、次の内容が明らかになった。 (1)電気洗濯機の開発と発達 ・手動式洗濯機との関連性 手動式洗濯機は大正時代初期から日本で使われだし、大正後期には婦雑雑誌等にも数多く紹介されるようになる。洗濯の合理化と洗剤の発達が手動式洗濯機の発達に関与し、また縦軸型と横軸型の2種類が開発された。この二つの異なる回転方法は、既に大正中期においては海外で電気洗濯機にも取り込まれている。すなわち、手動式洗濯機は電気洗濯機開発のべ一スになったということができる。 ・電気洗濯機の輸入 海外から電気洗濯機は大正中期に輸入されるようになる。ヨーロッパとアメリカから輸入され、縦軸型と横軸型の2種類があり、当初は横軸型の輸入品が多かった。使用者は特権階級に限られていた。 ・電気洗濯機の開発 これまで東芝が昭和5年に開発したとされていたが、大正末期に横軸型の電気洗濯機期が国内で特許化され、製品も発売されていることが確認された。また、東芝の電気洗濯機は昭和7年に発売された可能性が高いことを検証した。 ・アメリカの洗濯機との比較 アメリカの調査を実施、博物館とユーザーから聞き取り調査を行った。その結果、東芝製の電気洗濯機は、アメリカの撹拝式電気洗濯機の影響を強く受けていることが確認された。 (2)電気扇風機の開発と発達 ・電気扇風機の輸入 明治後期より、欧米の電気扇風機が輸入され、輸入したモーターを使用した国産扇風機も製作された。 ・国産の電気扇風機の開発 大正中期に国産のモーターが開発され、三井物産の子会社である芝浦製作所で国産の電気扇風機が製作それた。
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