研究課題
科学博物館は、モノをとおして、科学技術に関する情報を蓄積・伝承する。本研究は、博物館のこの機能に着目し、日米両国立科学博物館にて「技術革新」として展示されるモノを実地調査し、両者の比較から日米両国の「技術革新」に関する認識を浮き彫りにし、日米社会における「技術革新」の持つ意味を再検討しようとするものである(すなわち本研究は、技術革新の「展示方法」を探究するものではない)。1995年、ワシントンD.C.のスミソニアン協会、国立アメリカ歴史博物館内に創設されたレメルソン発明および革新研究センターは、レメルソン財団の寄付により、これまで「発明および革新」をめぐって種々の活動を行ってきている。しかしながら、わが国にその詳細が紹介されたことは管見の限りない。このため18年度は、国立アメリカ歴史博物館にて実地調査を行い、同センターの取り組みについて資料収集およびインタビューを実施した。レメルソン発明および革新研究センターは、「発明および革新」について様々な解釈を試み、それをとおして、発明や革新が合衆国の歴史においていかに重要な役割を果たしてきたのかを人々、とりわけ若者に理解させようと努めてきている。翻ってわが国の状況を見てみると、技術革新の解釈に関する探究は、技術革新プロセスの解釈にとどまっているように思われる。今後は、技術革新そのものの持つ意味を解釈し、社会・歴史の中に正当に位置づけていく必要があるだろう。また、同センターのプログラムは、発明および革新に関する情報の蓄積・発信、とりわけ普及の点から、わが国が学ぶべきものは多いと考える。すなわち、日本の技術革新に関する知見を、「国立」科学博物館がいかに公衆理解に繋げていくかは、今後の重要な課題であろう。さらに、同センターがジェンダー、人種、階級に配慮しつつドキュメンテーションを行う姿勢も、着目すべき点である。
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Briefing paper of 2nd International Symposium of "Technological Innovations in Japan : Collecting experiences and establishing knowledge foundation"
ページ: 43-44
「日本の技術革新 : 経験蓄積と知識基盤化」第2回フォーラム報告
ページ: 105-108