研究課題
外部環境に応じた適応的な行動発現の機構を明らかにするためには、生得的な行動発現機構に加え、それを円滑に作動させるための内的状態の調節機構、つまり意識(覚醒)状態の調節機構と自律神経系の調節機構が必要である。本年度は、視床下部-大脳基底核-脳幹を中心とする運動調節機構と、意識(覚醒)状態の調節機構、自律神経系のはたらきを反映する血圧調節機構に関する実験を行った。1.除脳ネコを用いた実験により、脳幹(脚橋被蓋核:PPN)のアセチルコリンニューロンによって駆動される筋緊張の消失(muscular atonia)は、視床下部に起源を持つオレキシンニューロンの働きによって抑制される。つまり、オレキシンによって筋緊張の維持がなされていることを明らかにした。またオレキシンの作用は、PPNの介在性GABAニューロン、あるいは大脳基底核の黒質網様部(SNr)のGABAニューロンを介していることを示した。2.無麻酔で頭部のみを拘束しだマウスにおいて、覚醒中枢である後部視床下部のヒスタミンニューロンを同定し、睡眠・覚醒サイクルにおける活動変化を記録した。ヒスタミンニューロンは覚醒時に高い活動を示すが、その活動上昇は覚醒が起こってから始まることから、ヒスタミンニューロンは、覚醒の開始でなく覚醒の維持に関与することを明らかにした。3.無麻酔で頭部のみを拘束したラットを用いた電気刺激実験と神経活動の記録実験から、レム睡眠中の血圧変動に、脳幹(外背側被蓋核)のアセチルコリンニューロンが関与することを示した。
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